モルドバ共和国とはRepublica Moldova
国の概要
モルドバ共和国は、1991年に旧ソビエト連邦から分離独立して誕生した若い国家です。それまでの歴史的な背景もあって経済的に裕福な国ではありませんが、豊かな自然と穏やかな気候、肥沃な土壌によって、ブドウ栽培をはじめとする農業やワイン製造が盛んです。
また、古代からさまざまな民族が融合したことで、現代にも受け継がれている独自の文化が育まれ、異国情緒あふれる観光地としても人気です。
紹介動画
基本データ
以下は2024年2月現在の情報です。
- 総面積
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33,846㎢
九州とほぼ同じ面積
- 人口
- 約260万人
- 民族
- 首都
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キシナウ
人口約54万人
- 言語
- ルーマニア語
- 通貨
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モルドバ・レイ(MDL)
1MDL = 8.44円
- 政治
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- 政体共和制
- 元首大統領
- 議会一院制
- GDP
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171億6,300ドル
世界131位
歴史
- 1000BC
- ダキア人がルーマニア、モルドバ地方に定住。
- 106-271
- ローマ帝国との戦い(ダキア戦争)に敗れ、同帝国の属州となる。この時代にダキア人と入植してきたローマ人との間で混血が進み、独自の文化が育まれる。 その後、スラブ、ハンガリー、タタールなどの支配下となる。
- 1359
- ボグダン1世がモルドバ公国を建国。
- 1512
- オスマン帝国の従属国となる。
- 1812
- モルドバ公国東部のベッサラビア地方がロシア帝国に併合される。
- 1859
- モルドバ公国西部がワラキア公国と合併し、ルーマニア公国となる。
- 1918
- ベッサラビア地方がロシア帝国から独立し、ルーマニアに併合される。
- 1940
- 第二次世界大戦直前の独ソ不可侵条約によりモルドバはソ連に併合され、黒海沿岸部はウクライナに割譲される。
- 1991
- ソ連崩壊によりベッサラビア地方が独立。現在のモルドバ共和国となる。
同年にロシアからの移住者が多いニストル川東岸が「沿ドニエストル共和国」として分離独立を宣言。全欧安全保障協力機構(OSCE)が調停を行っている。
観光地のご紹介
首都キシナウ
モルドバ観光の拠点といえば、やはり首都のキシナウです。モルドバらしいローカルな文化と旧ソ連時代の文化が融合した街並みが、東ヨーロッパの旅情をかき立ててくれます。
市内の多くの建物が石灰岩を使用しているため、「ホワイトシティ(白い町)」とも呼ばれています。歴史的な建造物をめぐりながら、ゆったりと散策してみてはいかがでしょうか。
世界最大規模のワイナリー「ミレシュティ・ミチ」では、おいしいワインと料理をご堪能いただけます。
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勝利の門
ロシア=トルコ戦争でのロシア帝国の勝利を記念して、1846年に建てられた凱旋門。クラシックな正方形のフォルムが印象的な建造物で、門の下には常にモルドバ国旗が飾られています。勝利の門の後方に建つナステレア大聖堂(キシナウ教会)とともに眺める風景はフォトジェニックで、モルドバ観光を象徴する1枚になることでしょう。
Photo: Tony Bowden from Tallinn, Estonia, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
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ナステレア大聖堂
勝利の門の後方に建つ大聖堂で、キシナウ教会とも呼ばれています。1830年に造られ、第二次大戦の空爆などで度々破壊されるなど時代の荒波を乗り越えて、今もなおモルドバの人々の信仰を集めています。美しい外観にとどまらず、観光客も入ることができる内部も必見。黄金に輝く荘厳な壁や天井にフラスコ画が描かれています。
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シュテファン・チェルマーレ公園
モルドバ独立の英雄、シュテファン大公の名前が付けられた公園です。公をはじめとする歴史上の人物の銅像や噴水がいくつも設けられ、花壇を季節の花々が彩ります。市民の憩いの場で、歴史を感じながらちょっとひと息。あたたかい日差しを浴びながらゆったりと過ごしてはいかがでしょうか。
Photo: Myrabella / Wikimedia Commons
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ミレシュティ・ミチ
キシナウから10kmの位置にあり、英国など各国王室も御用達のワインを製造する世界最大規模のワイナリーです。地下85mの深さにあるワンセラーは全長200kmもあり、ギネスにも登録されています。
ワインの熟成に最適な温度と湿度が保たれており、約200万本ものヴィンテージワインが貯蔵されています。広大なセラー内は、ソムリエが同乗する車で見学可能。さまざまなワインをテイスティングでき、併設されている4つ星レストランで最高級のモルドバ料理を味わうことができます。
オルヘイウル・ヴェキ
ラウ川の峡谷に位置する文化・自然・景観保護区。旧石器時代から人々が暮らしてきた地域で、紀元前5〜同3年に栄えたダキアン文明の遺産や14世紀にタタール人、モンゴル人によって建てられた中世都市跡、モルドバ人が15〜16世紀に創建した旧市街「オールド・オルヘイ」などを巡ることができます。
断崖絶壁の石灰岩を掘って造られた洞窟修道院は、モルドバの人々の信仰を象徴する場所。現在も修道士が生活しており、観光客も見学できます。
この地域以外にも、モルドバ国内には各地に修道院があり、美しい景観とともに歴史を物語っています。
ソロカ要塞とティギナ要塞
モルドバ国内の要塞は、15〜16世紀のシュテファン大公の治世に建てられたものが多く残っています。いずれも中世ヨーロッパでモルドバ領を守ってきた歴史的建造物です。
ソロカ要塞は15世紀に建てられたルネッサンス建築の要塞で、円形に囲うように造られた外壁から5つの塔がそびえています。
ニストル川の土手に建つティギナ要塞は、オスマン帝国、ロシア帝国と関わる歴史的な舞台となった場所。1709年、この地に逃れてきたスウェーデン王チャールズ12世の純金の王冠が、今もどこかに隠されていると言われています。
文化と伝統
郷土料理
肥沃な土壌に恵まれているモルドバでは、新鮮な野菜や穀物の生産が盛んで、小麦やトウモロコシ、カボチャやジャガイモ、タマネギ、ブドウやリンゴ、モモなどの果物、乳製品を使った伝統料理がたくさんあります。
焼物や煮込み、乳酸発酵した漬物やマリネなど調理方法もさまざま。素朴ながら上品な味わいは日本人の口によく合います。
コーンミールをお湯でといて固めた「ママリガ」は、ゼアマ(モルドバのチキンスープ)やローストミート、コーングリッツでまぶして焼いた鯉、羊のチーズ、ジュマリ(動物性脂肪かす)、サワークリームなどの付け合わせと一緒に食べます。
ブドウやキャベツの葉に肉と米を詰めた、モルドバ流のロールキャベツ「サルマーレ」、野菜から出汁を取ったチキンスープ「ゼアマ」、豚肉とタマネギを煮込んだ「トカニッツァ」なども伝統的な家庭料理です。
民衆芸術
モルドバの人々は「美と調和」への意識が高く、古代から陶芸、卵細工、絨毯織り、木工・石膏・金属加工などの技術を駆使した多様な民衆芸術が育まれてきました。
それらの技術は建物の屋内装飾にとどまらず、伝統的な民族衣装にも反映されています。服やテーブルクロス、儀式用のナフキンにも刺繍を施す風習は、モルドバ全域で今日も受け継がれています。